日本地衣学会について

設立の経緯

日本における地衣類の研究は故朝比奈泰彦先生等の先人の努力で世界的にも注目されております.地衣類研究者は世界的にみても数が少なく,地衣類を材料とした研究も従来は日本では分類や化学成分に限られていました.しかし,最近では培養をはじめとするバイオテクノロジーやヘルスケア材料,環境指標をはじめとする環境科学,染料,医薬品や教育材料などの分野に広がり,地衣類を扱う研究者も大学や公共機関,民間企業へと広がり,その数も増加してまいりました.特にバイオテクノロジー分野では世界をリードするまでに至っています. しかし,日本国内において地衣類を主題とする専門学術雑誌が無いことから,菌類,蘚苔類や藻類などの分野に比べて学術活動の活性化の面から立ち遅れていました.この現状を打破するために,地衣類を専門とする学術雑誌の発刊と研究発表会の開催を主な事業とする学会の設立を願う有志一同は,昨年9月に日本地衣学会設立準備会を組織し,学会設立に向けて議論を深めてまいりました.

学会設立総会

2月17日に高知学園短期大学で出席者51名(委任状36名を含む)による設立総会を開催しました.総会時点で一般会員57名,学生会員6名,名誉会員10名,団体会員3団体の計76名・団体が入会しました.総会では会則,役員,事業計画,予算,学会誌について審議承認し,正式に「日本地衣学会」設立を宣言しました.総会後,初代会長の吉村庸氏の「地衣類研究小史」講演が行われ,その後高知市内で懇親の場を持ち,学会設立を祝いました.